有名人にアスリート、芸術家から凶悪事件の犯人までその人物像を探ろうと試みると、大抵は幼年期の環境や親子関係がキーになります。その中でも特に母と子の関係が取り上げられることが多い印象を受けます。
自分にあてはめてみても、子供の時分は気づきませんでしたが、親や育った環境から良くも悪くも影響を受けていることが今になってよくわかります。
どこで読んだか忘れましたが、神風特攻隊員が突撃する際に叫ぶ名は妻、恋人や父親ではなく母親だそうです。
やはり母子間のつながりは、特別なのでしょう。(書いてて気づきましたが、特攻隊員は若い隊員ばかりでしょうから、妻帯者が少なかったのでは?)
今回、取り上げるのは母が子に読み聞かせるべき絵本と言うよりも、絵本自体がすでに母が読み聞かせる設定になっている絵本「くまさんくまさんなにみてるの?」です。
あらすじは、「ちゃいろいくまさんなに みてるの?」「あかい とりをみているの。」と同じ質問を動物達へ順々に聞き続け最終的には「おあかさん なにているの。」「だいすきなこどもたちをみてるのよ」「みんなは(注 こどもに声を掛けています) なにをみているの?」「おかあさんをみているの。」で終わります。
と、まあ、おとおさんではダメなのです。やはりおかあさんでないと。
気になるのは実際読み聞かせた時に読んでいて母親と子は最後の下りで照れたりしなのでしょうか?自分だったら照れてしまいそうですが。親子だったら照れないか、照れないですよね。
絵本自体の感想をサラッと書きますと、ただ動物達をシンプルに描いてるだけなのですが、いやだからこそエリック・カールの良さが出ますね。線と色の濃淡でそれぞれを動物を上手く書き分けています。表紙のくまさんの顔と体のバランスを一つ見ても素晴らしい。
私はあおい うま、むらさきいろの ねこ、しろい いぬが気に入っていますが、中でも聡明な目をしたむらさきいろのねこが一番気にいってます。
何処で読んだか、またまた忘れましたが、裏表紙のバーコードは、装丁上美しくないという記述を読んだことがあります。
それまで全く意識をしてなかったのですが、なるほどと納得したものです。
「くまさんくまさんなにみてるの?」の裏表紙は表紙のくまさんの後姿を裏表紙一杯に使って描いています。
つまりバーコードを入れる余白が無いのです。担当者の方は何処にバーコードを入れるか悩んだのか?むしろ悩まなかったのか?くまさんのおしり上部のど真ん中にスタンプを押すかのようにポンとバーコードが入ってます。
確かに美しくないし、バーコードが作品を損なってますね。まあ、見ようによっては、面白いのでコレはコレで有りですけど。
くまさん くまさん なに みてるの? (エリック・カールの絵本) ビル=マーチン エリック=カール 偕成社 1984-11 by G-Tools |