作品に触れる年齢や環境によって感想を変わってくるものですが、いつ見ても青春時代を描く作品には、感情を揺さぶられます。韓国映画「子猫をお願い」もそんな作品でした。

 
[あらすじ]高校時代からの仲良し5人組。高校を卒業してからは別々の進路を歩む中で友情関係にひびが。それぞれの思いを胸に社会へ出て行こうとする女の子達の青春群像劇。

 

画面はモヤがかかっているようで、たんたんとぼんやりとした印象を受けます。BGMもそんな印象。
この映画全体から流れる地に足がついてないような空気感が5人組の未来に対する漠然とした不安な心境をよく表していました。

 

女の子達の平凡な日常を追っていくだけの話ですが、あきさせないのは女の子達のキャスティングの良さ。
特に主演のペ・ドゥナは「不満は有るけどその不満が何かわからないし、具体的にしたいことはないけど自由ではいたい。」 そんな、ある意味身勝手な気持ちをショートカットに痩せぎすの体全身で表現していました。それぞれのキャラクターの役割分担がはっきりとしていたので演じやすかったのかもしれません。
女の子達の内面をあっさりと描写していながら書き漏らしはしない監督の上手さも飽きがこない要因。若い女性監督なので心情的に登場人物と似た部分もあるのかも。実際、監督は周りの友人達をみてこの映画を撮ろうと思いたったそうです。

 

当時は斬新だったかもしれない携帯電話を多用した表現が今となっては古臭いのはご愛嬌でしょう。ケイタイは子猫よりも大活躍でした。

 

ラストで主人公は友達一人を連れて海外へと旅立ちます。目的もどこへ行くのかもはっきりとしないまま。はっきりしないのが如何にもこの映画らしいですね。ただの海外旅行に終わって時間とお金を浪費して韓国に帰ってきてしまいそうな気もします。
仮に海外に行くことが現実逃避に終わったとしても彼女達が悩み、苦しんで状況を変える為に一歩を踏み出したのは事実です。
真っ暗な何処かへ踏み下ろした一歩が前に進んだのか、ただの足踏みに終わったのか、それとも後ろへ下がったのかは誰にもわからないのだから。

 

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