今回は久しぶりに映画で。とりあげるのは「めがね」です。
この監督の作品は劇場公開作品4本中、今作を含めて3本見ていまして。では大ファンかと言えばさにあらず。たまたま劇場用長編デビュー作「バーバー吉野」見て以来、今後の作風がどう変化していくのかに興味が沸き、他の作品も見るようになったのです。
では「バーバー吉野」が好感触だったのかと言えば、またまたさにあらず。吉野刈りのネーミングの良さと冒頭の合唱シーンは認めるものの、ストーリー、キャラクター造詣の凡庸さ陳腐さについつい「雰囲気だけ。景色やもたいまさこの演技に頼りきりで工夫が無い。二度と映画をとらなくていい」と腹を立ててしまったのです。当時、何か嫌なことでもあったのかもしれません。

 

と、プリプリしていたのですが、「かもめ食堂」が好評なので、気になってしまいついついチェック。「バーバー吉野」で見せた雰囲気のある映像だけに特化した映画で、この路線で攻めるのかと納得。確かにヘルシンキの景色は綺麗だし、食事も美味そうに撮れている。キャスティングも絶妙。もたいまさこ、片桐はいりの存在感はいつものことながら、程良くきれいな小林聡美は嫌味がなく女性受けしそう。
「でもやっぱし話に厚みが無いんだよなあ」と、不満を感じました。(厚みを出す気が無いのは承知しているけど。)
で、ここまで見続けたら「めがね」も見るしかないと覚悟を決めてDVDを借りました。

 

あらすじ 携帯の通じない場所へと行きたくなったタエコ(小林聡美)は、とある南の島へとむかう。そこは、民宿の主人(光石研)をはじめ、カキ氷屋のサクラ(もたいまさこ)、高校教師のハルナ(市川実日子)達が「たそがれて」過ごす、ゆったりとした時間の流れる島だった。
当初、彼らとリズムの合わないタエコだったが、豊かな自然に心が解きほぐれされるかのようになじんでいく・・・

 

感想を単刀直入に言うと今までの作品の中では一番楽しめました。雰囲気優先なのは荻上作品の特徴だから置いといて。全体的な間やリズムが良かったし(今までと比べて)、登場人物に血肉が通っていたし(今までと比べて)、笑えるシーンも増えたし(今までと比べて)、なんか基礎体力がついた感じです。(ここまで読み返して見ると凄くえらそうですね。でも悪気は無いんで。)
印象に残ったのは犬のコージの演技?ですかね。なにせ出てくるタイミングがいい。演出なのか、好きなように歩かせているのか、分かりませんがこの映画の力の入ってない感をUPさせていました。
もう一つ演技で言えば、光石研が光っていました。お弁当を作っている様子は光石研が演技をしているのではなく、民宿の主人という人間がそこに実在しているかのようでした。

 

薬師丸ひろこ演じる農作業命のホテルのオーナーと出会うシーンも印象に残りました。私が勝手にイメージしている荻上直子監督のファン層は*なので、農作業を茶化すとは意外というか、根性があると言うか。
*20代以上の女性
好きなもの 雑貨、カメラ、、旅行(憧れていてもひんぱんには行かない)、散歩(こっちはよくする)
好きな雑誌 ソトコト、 天然生活、ku:nel
イデオロギー エコ ロハス スローライフ スローフード
(偏見なのですが、そんな気がしません?)
薬師丸ひろ子ではなく室井滋(「やっぱり猫が好き」)を使ってあげれば良かったのに。なんか仲間外れみたいでカワイソウじゃん。とか思いながら見ていました。

 

なんやかんや言って今作はそれなりに楽しめたし、きっと次回作も見るのではないでしょうか。今度はタイが舞台だそうで。どおりで「Pasco超熟食パン」のCMがアジアンチックな訳だ。
と思ったら監督が違った。小林聡美、もたいまさこ、加瀬亮が出るのにまぎらわしい。

 

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VAP,INC(VAP)(D) 2008-03-19

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