ひと前昔にベストセラーとなった書籍「へんないきもの」がブックオフで安くなっていたので手にとってみました。
ここ数年、深海生物が注目を浴びていますがブームに先鞭をつけたのが本書なのかな?とか思ってるんですけど。どうでしょうか?
今だったらと今作と次作の「またまたへんないきもの」が合わさった「せいぞろい へんないきもの」がお買い得かと。

 

とりあえずオチに「結局、一番へんないきものは人間ですよね」みたいなベタなのを持ってくるのは止めようと堅く誓って書き始めています。

 

さて、内容はタイトルそのままで実在する動物をイラストと軽いタッチの文章で紹介する本です。
この手の本「普段は馴染みが無いけど首を突っ込んでると面白い世界を紹介する本」(長い!)をサッラと読ませるには、読み手をクスリと笑わせる文章力と取り上げる対象に対する愛情が必要なのですが、本書は時事ネタが多いせいか、あまり笑えなかったかなと。読み易くする為には仕方が無かったのかもしれませんが。
とはいえ、気楽に読めましたし、暇つぶしをしつつ知識欲を満たいけれど、小難しいのは嫌だなんてユルイ気分の時にお読みになると良いのでは。

 

本書をパラパラとめくると奇妙な外見や生態を持った生物のオンパレードで。
イシガキリュウグウウミウシやヤツワカガビルなんかがハトみたいに町中に溢れてたら困るなぁ。 あ、でも溢れる位いたら慣れるから平気か。
長辺1メートル、触手が24本に及ぶニチリンヒトデに町中で突如襲われたらやだなぁ。あ、でも何度も襲われたら慣れるから平気か。
ボネリムシのオスとしてメスの体内で一生過ごすのは情けないなぁ。あ、でも慣れたら快適かもな。
「ベタなオチは止めようと固く誓った」のにこんな程度の文章で良いのかなぁ。あ、でも今に始まった訳じゃないし、これも慣れか。

 

追記 ちなみに紹介されているいきものの中で一番インパクトがあったのはボネリムシ。
ボネリムシの幼生は雌雄未分化の状態にある。だが、その時期に生体のメスの体内でオスに成長するのだ。そしてオスはそれ以後メスの子宮の小部屋で生涯過ごすことになる。
オスは巨大なメスに生存のすべてを―を委ねる。食物もメスに与えてもらうが、体表を通して直接栄養をもらうため、消化器官さえもたない。
しかし口はある。食うためではなく、精子を放出するためだ。―本書より抜粋

 

4101318913 へんないきもの (新潮文庫)
早川 いくを
新潮社 2010-05-28

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