初夢とは12月31日~1月1日の夜を指すのでしょうか?それとも1日~2日の夜を指すのでしょうか?
いずれにせよ私は気絶をするように寝ていました。(1月も下旬に入ろうかというのに何故初夢ネタ?それは書き始めたのが6日だからです・・・)
今回取り上げるのはちいさいなわかくさいろのぞうの夢を描く絵本「ちいさい ちいさい ぞうのゆめ・・・です」。

 

あらすじ ある所におおきいぞう達とちいさいちいさいぞうが住んでいました。おおきいぞう達とは馴染めないちいさいぞうは夢でみた自分の本当の居場所を求めて旅に出ます。
さて彼の行き着く先は・・・

 

絵柄は、非常に儚げな雰囲気をかもし出しています。儚げ過ぎてハッピーエンドで終わっても夢オチかと疑ってしまう程ですが、それではぞう君が余りに哀れなので夢オチでは無いでしょう。
絵柄の儚さはつらいつらい旅の途中のぞうくんの心もとなさ、不安を表し、やっと見つけたユートピアでは不安な儚さはいつしかやすらぎ溢れる安心感へと変わっています。まるで暗い悪夢から覚め希望の夜明けを迎えるように。

 

弱者がユートピアを求めて旅立つという典型的なストーリーです。おおきいぞうたちは「はいいろで はなを まきあげては さけびごえを あげていました」、一方ちいさいぞうは「わかくさいろで やさしい こえでうたうことが だいすき。からだは ねずみくらい」
せっかくやさしいこえで歌っているのに、横ではなをまきあげながら叫ばれたら、出て行きたくもなるでしょう。
体のサイズもねずみ位で、ぜんぜん違うし。些細なようですが体のサイズが違うと一緒に生活するのは困難でしょうね。私も力士との同棲を想像するとゲンナリします。
まあ、この場合サイズ以外にも乗り越えなければいけない壁が沢山ありますが。

 

奈良美智が描くワンちゃん似のかよわいぞう君にとって、旅はとても困難だったことでしょう。でも考えてみれば強者はいま居る場所で充分になのだから、弱者にこそ、ここでは無いいまだ見ぬユートピアが必要な訳で。だから旅立たなければならないのです。そう世界はいつだって弱者につらい決断を迫るのです。

 

私の会社も大体ハツカネズミ位のサイズですので、ちいさいぞう君を見習ってユートピアに向けて万進しなれけばと、この絵本を読みながら思った次第であります。
と、なんとか新年の誓いぽくまとめたつもりになった所で締めたいと思います。

 

4593500915 ちいさいちいさいぞうのゆめ…です
ルース・ボーンスタイン おくだ つぐお
ほるぷ出版 1979-08

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