今回は猫から人に感染して呼吸困難を引き起こす新しい病気にかかる人が増えているという朝日新聞の8月14日付けの記事を取り上げます。
大流行の兆しを見せている新型インフルエンザ共々注意したい所ですが、まだ報告例が少ない為、全容が掴めていないようです。
記事の要約はこちら↓
猫から人にうつり呼吸困難を引き起こす新しい病気にかかる人がここ数年で相次ぎ、世界で最初の患者を報告した英国では死者も出ている。
日本では届出義務がなく、医師や獣医師でさえほとんど知らない。
今年1月、東京に住む50代の女性がのどの痛みに血の混じった鼻水が止まらなくなり、診察を受けた所、喉と鼻の奥に黄白色の塊がこびりついていた。
この塊から、コリネバクテリウム・ウルセランスという細菌が見つかった。この菌は感染症予防法で2種感染症に指定されているジフテリアと同じ毒素を作る菌で風邪の症状に始まり、重症になると呼吸困難に陥り、死に至るケースもある。
国立感染症研究所の調査によると女性の家に立ち寄る野良猫5匹のうち、2匹の鼻水から同じ遺伝子タイプをもつ菌を発見した。
ウルランス菌は抗菌薬が効く。
初耳でしたので検索してみると国立感染研究所のページを発見。
(http://www.nih.go.jp/niid/bac2/Coryne_ulcerans/)
国立感染研究所によると2001年~2009年の間に国内において6件の発症例を確認しており、今後の方針として「国内分布、菌の伝播性等の疫学調査や基礎研究が極めて重要」と述べているようにまだまだ研究途上のようです。
世界で報告例がもっとも多いイギリスでは年間4~6例の報告が有るそうで、海外においては猫、犬、牛等が人への感染源として疑われており、国内で報告例はないが生の乳製品の摂取も原因として挙げられている。
研究途上の為か、研究所のページを見ている限りではこう予防しなさいという記述が無いので、国内においてペットから感染するズーノーシス(人畜共通感染症)の一般的な予防方法を書いておきます。
ご参考にして下さい。
- ペットとの濃厚な接触を避ける(食事の口移し等)
- ワンちゃん、ネコちゃんの爪を切る。
- ペットに噛まれたり、引っ掻かれた場合は傷口を速やかに流水、石鹸で洗浄した後、消毒する。
- ペットと接触した前後に手の消毒及びにうがい。
- 予防接種を受け、予防薬を投与する。
- 飼養環境を清潔に保つ。
- 糞尿を速やかに片付ける。
- ねずみ、野鳥や昆虫など人とペットとの共通感染症を媒介する生物とペットとの接触がおこらないようにする。
- 飼い主さん自身、ペットの健康状態をしっかりとチェックする。異常を感じたら医療機関へ。