誤読する権利―「みどりの目」

今回取り上げる絵本「みどりの目」は肩の凝らない良作で、私も気にいってます。
優しい色合いで描かれる自然の中を好奇心旺盛な子猫が無邪気に走り回る様子は本当に微笑ましい。文章は簡潔ですが子猫の素直な気性を巧みに表現しています。

 

簡潔な文章も程よく雑な絵もいいのですが、何より特筆すべきは、単純そうでいて捻りの効いたストーリーです。
話の冒頭で子猫は箱に入れられたまま置き去りにされるのですが、「あおい そらが、ぼくのいえの てんじょうだった てわけ」とノビノビと生活し続けます。
そしていつの間にやら拾われて話は終わります。

 

子猫は身の回りに重大なことが起きているのに、楽天的な前向きさと環境の変化に捕らわれない気高さで捨てられた事に気づきもしないのですが、じつは悲劇的な状況に陥っている。この辺りが微笑ましいやら切ないやら。でもいつの間にやら拾われる幸運さ。
子猫が世界を愛し、世界に愛されているのが、気づいてないけど悲劇→気づかないうちに解決という一連のエピソードからて伝わってきて、「なんと気高く幸福なネコちゃんなんだ!」と楽しくも暖かい気分になれるのです。

 

ところがここで問題がありまして。子猫が置き去りにされたのか、ただ飼い主によって外に出されただけなのかはっきりと作中で触れられてないのです。
私ははじめて読んだ時に前者と解釈したのですが、他の方のブログやサイトを覗くと捨てられたと解釈している人は少数派なので段々と自信が無くなってきました。

 

でも胸を張って捨てられたと解釈することに決めました。何故かって?だってそっちの方が面白いから。
それに仮に間違いだとしても、読み手は「作品を誤読する権利」が持っているのですから。

 

4887500378 みどりの目
エイブ・バーンバウム ほしかわ なつよ
童話館出版 2002-05

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2008.09.12