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2008.10.22
ブログA少年を元気づけてみよう―「カングル・ワングルのぼうし」
内気で友達が出来なくて寂しがっている小学生のA少年がいるとしましょう。さてA君を元気づけるにはどうしたものだろうか?友達になってあげるのが一番かもしれませんが、やっぱり同世代の友達と一緒に居るのが一番楽しいでしょう。 では絵本「カングル・ワングルのぼうし」をプレゼントするというのはどうでしょうか?絵本に限らず映画、本、音楽は困難な状況や障害をダイレクトに解決はしてくれませんが、乗り越えるに手助けをソッとしてくれます。 あらすじ クランペティの木の上に座って、顔が隠れる程大きな帽子をかぶっているカングル・ワングルは誰も遊びにきてくれないのでとても寂しい気分でした。しかしカングル・ワングルの帽子を見たカナリヤが「その素敵な帽子に巣を作れらせてください」と訊ねて来ました。それからはドンドンと動物達が訊ねてきます。 顔が隠れる程リボンやレースにすずがついている大きな帽子とはカングル・ワングルの頭脳をさし、頭脳から生み出される想像力が豊かで美しい事を表しています。その帽子に実在しない動物達(はったりネズミ、びっくりこうもり等)が住まわせてと訊ねてくる。 つまりこの動物達は空想の産物。また、地上とは隔絶した木の上に住んでいるカングル・ワングルは社会生活が苦手な内向的な性格であるようです。 この絵本の詩(文章)を書いたのはエドワード・リア。筆者略歴を見ると「幼い時から病弱で7歳ごろからテンカンの持病に悩まされ作詩や絵画に熱中するする内向的な人となりました」とあります。 カングル・ワングルとは、エドワード・リア本人だったのです。動物達がすべて空想とするなら、カングル・ワングルもしくはリアは空想で孤独を紛らわす寂しい男の子なのでしょうか? そうでは有りません。リアはその想像力と画才を武器としてヴィクトリア女王に絵の手ほどきをするまでの人物となりました。また貧しい人に心を寄せを収入の大部分を分け与えたそうです。 つまり社会的に成功したひとかどの人物となったのです。 一方、絵をつけたのはヘレン・オクセンバリー。巻頭にてこの絵本をジョンに捧げています。 ジョンとは、「おじいちゃん」等の作品で有名な絵本作家のジョン・バーニンガム。捧げられたバーニンガムが内向的な少年だったかまでは分かりませんが、(以前、当ブログで取り上げた「アルド・わたしだけのひみつのともだち」は孤独で想像力が豊かな少女が主人公でした) リアの詩にシンパシーを感じて取り上げたのは間違いないでしょう。 内向的である事も孤独であることも、そんなに悪くはないのです。大切なのは、その状況をどう生かすかです。 と少年Aに語りかけても「絵本なんてイラナイ。みんなが持っているから、友達を作るためにwiiがPSPを買ってよ」と言われると、返す言葉もないですが。カングル・ワングルのぼうし
エドワード・リア ヘレン・オクセンバリー
ほるぷ出版 1975-10
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2008.10.14
ブログ狸 よいやっさ! 自然保護 大変だぁ―「平成狸合戦ぽんぽこ」
昨日、お散歩をしているとワンちゃんが急に立ち止まりました。 「ん?」視線の先を追うと狸でした。ワンちゃんと狸と私が見つめあうこと5秒。サッと狸が逃げていきました。 ここは杉並区。練馬区のお客様の庭に狸が出た話や我が家の周りで狸を目撃したことがあります。 帰宅後、「都内の狸」について興味が湧いてきたのでネットで検索してみると、「平成天皇が皇居内に生息する狸の調査を論文にまとめて発表」なんて面白いニュースもありました。なんでも自ら狸のフンを採取、分析したそうで。なんと恐れ多い。 都内に生息する狸を扱った映画といえば「平成狸合戦ぽんぽこ」。 ジブリ作品の中ではとりわけ人気が低いようです。私は結構好きですけどね。よいやっさ!。まあ、見たのがかなり前で、ざっくりとした印象しか持っていないので擁護も出来ませんし、忘れてしまったのでここでは内容にも触れませんが。(我ながらすごくいい加減。) 昨日の狸が映画を連想させてふと「あーそう言えば、ぽんぽんこ見たなあ。」と思い出した次第です。 ぽんぽこのラストはゴルフ場でしたが、最近、ゴルフが流行ってますね。一方、エコもブーム。10年以上前だったらゴルフと言えば自然破壊の代名詞でゴルフとエコの二つが並び立つなんてあり得なかったのですが、今は「緑豊かな環境でプレー」とクリーンなイメージがありそうです。 ここで皮肉を書きたい訳ではなくて、かように価値観は変化していくのだなと面白く感じました。 環境問題って難しいですよね。そもそも快適な暮らしが出来るのは、自然を切り開いていったからで、快適な暮らしと自然保護を両立させようとすると、どうしても矛盾が出てきます。自然保護という概念さえ人間の都合。 その矛盾を解決する手立ては私には思いつかないですが、かと言って「人間なんて矛盾の塊さ」と冷笑的な態度をとるも嫌ですし。 となると矛盾を意識しつつ、少しでも良い方向に進めるように考え続けるしかないのでしょうね。 んー大変だぁ。平成狸合戦ぽんぽこ [DVD]
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 2002-12-18
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2008.10.08
ブログドッグライフカウンセラー合格
先日、ドッグライフカウンセラーの検定に合格しました。ドッグライフカウンセラーとは、飼い主さんとワンちゃんとがよりよい生活をおくれるようにアドバイスを行う人間の育成を目的とした民間資格です。 テストの出来に手応えがあったので受かるだろうとは思っていましたが、さすがに合格と分かると嬉しいというかホッとしました。 「合格」という形に残るのは嬉しいですが、それより今回学んだ事をお客様へのサービスの向上に繋げていければと思っております。 -
2008.10.04
ブログモノ>思い出じゃなくて、モノ=思い出―「僕の大事なコレクション」
今回、とりあげるのは部屋中をコレクションで一杯にして寝る場所が無くなったり、家族の理解を得られず肩身の狭い思いしているコレクター達を強烈に援護射撃する映画「僕の大事なコレクション」です。モチロン、ワンちゃんも登場します。その名もサミーディヴスJrJr。 Candy Man~♪ コレクションとは無機質なモノを集める行為ではありません。コレクターはそのモノが辿って来た歴史、込められた想いや思い出を集めているのです。コレクションが如何にロマンチックであるかをこの映画は教えてくれます。 あらすじ アメリカ在住のユダヤ系アメリカ人の主人公(イライジャ・ウッド)は家族にまつわるアイテムを集める変なコレクター。兄の使用済みコンドームとか。祖母の入れ歯とか。 そんな主人公が祖父の生まれ育ったウクライナにルーツ探しへと。旅のお供は現地ガイドのアメリカ好きの若者(ユージン・ハッツ)にユダヤ人嫌いの祖父。祖父は車の運転が出来る盲人。つまり目が見えないのは嘘。それと人に吠えかかる盲導犬のワンちゃん。 一見するとよくある自分探しのロードムービー。前半はコメディタッチも途中から主人公と若者のルーツ、祖父の過去が絡み合いシリアスな展開へと話は進みます。 今作がデビュー作の監督は手際よくストーリーのトーンを変えて行きます。イライジャ・ウッドのルーツ探しがいつの間にやらユージンのルーツへと及ぶ様はお見事。 またキャステンィグも絶妙で、ナードな役柄が嵌っているイライジャも良かったのですが、アメリカ好きの若者を演じたユージンはイライジャを喰う勢いでした。この人、本職はミージシャンだそうですが、生意気だけど心優しく、間抜けが故に時に鋭い発言をする若者を好演していました。そうそう劇中に流れるジプシー風音楽も軽快で特に前半の雰囲気とマッチしていました。 何より印象に残ったのはひまわり畑のシーン。緩やかな風に揺れるひまわり畑の黄色が鮮やかで鮮やかで。 でも鮮やかなのにどこかさびしいのは、トラキムブロドという名の村で起きた惨劇によって流れた血と亡くなった村人の想いによって作られた黄色だからなのでしょうね。 村人達の遺品がひまわりの下に(実際には埋まっていないのですが)埋まっているかのようなイメージを受けました。 前半の明るいテンションをもっと維持してくれても・・・と思ったら、DVDの未公開シーンにはハイテンションなシーンが沢山入っていました。サミーディヴスJrJrも本編よりも活躍していました。サミーディヴスJrJrは凶暴な面を持ったキャラクターですが、実際のワンちゃんはとてもお利口で頑張って演技しているのが伝わって来ました。 一つ一つの未公開シーンは面白いのですが、全部採用すると長くなるし、作品の雰囲気も変わってしまいそうです。この辺りの塩梅は難しいのでしょうね。僕の大事なコレクション 特別版 [DVD]
リーブ・シュライバー
ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-11-03
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2008.09.29
ブログこどもたちの視線の先には・・・・―「くまさんくまさんなにみてるの?」
有名人にアスリート、芸術家から凶悪事件の犯人までその人物像を探ろうと試みると、大抵は幼年期の環境や親子関係がキーになります。その中でも特に母と子の関係が取り上げられることが多い印象を受けます。 自分にあてはめてみても、子供の時分は気づきませんでしたが、親や育った環境から良くも悪くも影響を受けていることが今になってよくわかります。 どこで読んだか忘れましたが、神風特攻隊員が突撃する際に叫ぶ名は妻、恋人や父親ではなく母親だそうです。 やはり母子間のつながりは、特別なのでしょう。(書いてて気づきましたが、特攻隊員は若い隊員ばかりでしょうから、妻帯者が少なかったのでは?) 今回、取り上げるのは母が子に読み聞かせるべき絵本と言うよりも、絵本自体がすでに母が読み聞かせる設定になっている絵本「くまさんくまさんなにみてるの?」です。 あらすじは、「ちゃいろいくまさんなに みてるの?」「あかい とりをみているの。」と同じ質問を動物達へ順々に聞き続け最終的には「おあかさん なにているの。」「だいすきなこどもたちをみてるのよ」「みんなは(注 こどもに声を掛けています) なにをみているの?」「おかあさんをみているの。」で終わります。 と、まあ、おとおさんではダメなのです。やはりおかあさんでないと。 気になるのは実際読み聞かせた時に読んでいて母親と子は最後の下りで照れたりしなのでしょうか?自分だったら照れてしまいそうですが。親子だったら照れないか、照れないですよね。 絵本自体の感想をサラッと書きますと、ただ動物達をシンプルに描いてるだけなのですが、いやだからこそエリック・カールの良さが出ますね。線と色の濃淡でそれぞれを動物を上手く書き分けています。表紙のくまさんの顔と体のバランスを一つ見ても素晴らしい。 私はあおい うま、むらさきいろの ねこ、しろい いぬが気に入っていますが、中でも聡明な目をしたむらさきいろのねこが一番気にいってます。 何処で読んだか、またまた忘れましたが、裏表紙のバーコードは、装丁上美しくないという記述を読んだことがあります。 それまで全く意識をしてなかったのですが、なるほどと納得したものです。 「くまさんくまさんなにみてるの?」の裏表紙は表紙のくまさんの後姿を裏表紙一杯に使って描いています。 つまりバーコードを入れる余白が無いのです。担当者の方は何処にバーコードを入れるか悩んだのか?むしろ悩まなかったのか?くまさんのおしり上部のど真ん中にスタンプを押すかのようにポンとバーコードが入ってます。 確かに美しくないし、バーコードが作品を損なってますね。まあ、見ようによっては、面白いのでコレはコレで有りですけど。くまさん くまさん なに みてるの? (エリック・カールの絵本)
ビル=マーチン エリック=カール
偕成社 1984-11
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